みなさんは、「乳酸菌が体に良い」ということは漠然とご存知だと思います。でも、「どこが!?」「なぜ!?」という詳しいことは分かりにくいのが現状です。
「乳酸菌」と一言でいっても、その効果は様々です。大きく分けると下の3つに分類されます。
○プロバイオティクス
○プレバイオティクス
○バイオジェニクス
横文字ばかりでなじみは薄いかもしれません。今日はその中でも、多分一番認知度の高い言葉「プロバイオティクス」について見ていきましょう。
少し前まで、プロバイオティクス=生菌 だった
今から22年前の1989年、プロバイオティクスを以下のように定義することが決められました。
「腸内微生物のバランスを改善することによって宿主動物に有益に働く生菌添加剤」
真剣に書くと、すごく難しく聞こえます。要するに「生きたまま体の中に摂取した際に、私たちに有用な働きをする微生物」ということです。これならなんとなくお分かりでしょうか。
乳酸菌といっても、全てがプロバイオティクスに当てはまるわけではありません。当時定められた条件は次のような内容です。
1. 胃酸に強い
2. 胆汁酸に強い
3. 粘液や腸管細胞にくっつきやすい
4. 病原菌が腸管に付着するのを防ぐ
5. 胆汁酸変換活性を持たない など
これをまとめると、「生きたまま腸まで届き、長くとどまること。そして悪玉菌を排除して体に良い働きをすること」となります。 これらを全て満たす乳酸菌が晴れて「プロバイオティクス」として認められていました。
【最新研究】外から摂取した乳酸菌は定着しない!
今、市場に出ている乳酸菌製品の中には、「50億個」や「1兆個」といった数を謳い文句にしているものがあります。見た目には「数が多い方が効果がありそう」と見えますし、生菌の数を基準に選んでいる方もたくさんいらっしゃいます。しかし、数が多ければ良いという考え方は、今ではかなり変化してきました。
私たちの腸内には「腸内細菌」という1000種類1000兆個を超える微生物が住んでいます。この数は、最新では9000兆個を超えるとまで言われています。なぜ数が増えたかというと、数える技術が飛躍的に進歩して、以前は見えなかった菌も数えられるようになったからです。そして、生まれた時からひとそれぞれ違う菌をお腹に持っていて、お互いが強い繋がり(ネットワーク)を作っています。
その強いネットワークの中に、新参者の外部からの乳酸菌は入っていくことができません。そのため例え生きたまま腸まで届いたとしても、定着することなくすぐに体外に排出されてしまうのです。例えば、人間でも仲良しのグループに、突然、力の強い人が入ろうとすると輪が乱れます。仲間に入れてもらえないことだってあります。
では、「乳酸菌を摂取すること」が意味がないかと言えば、それは違います。乳酸菌が体に良いというのは間違いありません。そして、世界中で乳酸菌の効果は日々研究されています。
ただし、最近分かってきたことは、「乳酸菌は死んでいても、生きている菌と効果が変わらない」ということです。また、むしろ死菌体の方が免疫活性化が強い種類の乳酸菌もいることが分かっています。
なぜ、外から乳酸菌を摂って腸に定着しないのに、乳酸菌は体に良いのか。
なぜ、死んだ菌でも生きた菌と同様の効果があるのか。
次回は、その内容について少し詳しく書いてみいたいと思います。