微生物と聞くと、すごく危険な存在のように受け取られがちです。
でも、実は病原性を持っているのはほんの限られた数の微生物だけなのです。
もちろんその限られた種類の中でも、一部のものは植物や動物、そして私たちを死に追いやるほどの脅威を発揮する場合もあります。
でも、私たちは微生物なしでは地球上で生きていくことができません。
例えば主要な栄養分を作り出したり、土に落ちている有機物を分解したり。
そういった微生物が担った活動の産物や恩恵を、人間や動物、植物は受けています。
私たちが呼吸に必要な酸素も、光合成細菌が地球上で最初に作り出してくれたから、地球上に酸素が生まれたのです。
そして、その延長線上に私たちの生命が存在しています。
病原性細菌などの負の側面のリスクをいかに最小に抑えるかを知るためにも、微生物学を学ぶことはとても重要です。
微生物とはどういった存在なのでしょうか?
微生物とは、単細胞、または細胞の集団を作って存在する微小な生き物からなる、とても多様性に富んだ集団でです。
植物細胞や動物細胞と決定的に違うのは、増殖やエネルギー生産、複製といった生命活動を、他の生物細胞とは独立して営むことができる点です。
一方、植物細胞や動物細胞は多細胞生物でです。
これらの細胞は独立して存在することはできず、それぞれの細胞は他の細胞に依存することでしか、自然界で生きることはできません。
微生物細胞は、1個の独立した細胞として単独で生きることができるのです。
要するに、単細胞生物とは、1個の細胞だけからできている生物のこと。
多細胞生物は体が複数の細胞からできている生物のこと。
でも、単細胞生物だからといって単純な作りであると考えるのは大きな勘違いなのです。単細胞生物は一つの細胞だけで生き抜いていくために、多細胞生物よりも遥かに複雑で多様性の高い生命活動をしています。
【微生物学が必要な理由1】
微生物細胞の中で行われている色々な反応や栄養の利用方法が、人間などの多細胞生物とほとんど共通であるこからです。
自然界の全ての細胞は、基本的に共通の性質を持っているのです。高等生物の細胞機能を解明する上で、微生物は優れたモデルとなって私たちに多くの知識を与えてくれています。
【微生物学が必要な理由2】
微生物は医学、農学、産業においてとても密接に関連しています。
土壌の肥沃化や家畜の生産性にも重要な役割を果たし、多くの大規模な工業生産にも微生物が深く関わっています。
今後、代替エネルギーを開発したり、地球の環境を支え続けていくためにも、微生物の力なくしては成し得ないのです。
微生物は、私たちが誕生するずっと以前から地球を支えて来てくれました。
そんな大切な存在について、私たちはあまりにも知らなすぎるのです。
これから人間が地球とずっと共存し続けるためにも、一番のキーワードは「微生物との共存」です。
微生物について、できる限り全てのことを知っておくことが、地球のため、私たちのためになるのです。
その中身について、今後も継続してお伝えしていきます。