スウェーデンの研究チームによって、男女別の食物繊維の循環器系疾患に対する効果が発表されました。
8,139人の男性と12,535人の女性(44歳から73歳)を対象に、アンケート方式で日々の食事内容(168項目)をチェックする方式で行われました。
この対象者は、循環器系疾患や糖尿病の履歴がない方を対象としています。
13.5年の長期に渡る追跡の結果、男性では1,089人、女性では687人の循環器系疾患の発症が確認されました。
この結果の中で、特に女性において高い食物繊維摂取量の人は、摂取量が低い女性に比べて循環器系疾患の発症リスクが約25%低いという結果が得られています。
一方で、男性ではその効果が女性ほど高くはなかったとされています。
この理由は明確ではありませんが、食物繊維の作用機序において男女で異なるという可能性も考えられます。
食物繊維は、日本においても年々その摂取量が減少しています。
日本人の食事摂取基準(2010年版)では、食物繊維の目標摂取量は、18歳以上では1日あたり男性19 g以上、女性17 g以上とされています。
一方、平成20年の国民健康・栄養調査結果から、食物繊維摂取量は10~40代でかなり少なく、15歳から40歳くらいまでの女性では平均して12.5 g程度となっています(男性は13 g程度)。
もちろん、循環器系疾患のリスク軽減のためには、脂肪分の摂取量を控えたり糖分の取り過ぎにも注意が必要です。
食物繊維は、取りすぎても必要な栄養素を吸着して排出してしまうという吸収阻害が起こりますが、現状では摂取量が不足しているので積極的に食事から取り入れることが必要です。
今回の研究のように、循環器系疾患のリスク軽減はもちろん、便通の改善にも食物繊維は重要です。
おなかの健康のためにも、野菜や海藻、キノコ類を意識して食事に取り入れ、食物繊維の摂取量を増やしていきましょう。
Dietary Fiber and Saturated Fat Intake Associations with Cardiovascular Disease Differ by Sex in the Malmö Diet and Cancer Cohort: A Prospective Study
PLoS ONE, vol 7, issue 2 (2012)
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0031637