乳酸菌などのプロバイオティクスが、抗生物質によって引き起こされる下痢のリスク軽減に役立つことが「the American Medical Association」に発表されました。
病気の時に処方される抗生物質は、病原菌を殺してしまうだけでなく、体にとって必要な善玉菌までも殺してしまう恐れがあります。
もちろん、抗生物質といっても一概に一種類でなく、たくさんの種類があり、どの微生物に対して効果があるかも種類によって異なります。
ただし、一般的に抗生物質を投与されると、約30%くらいの人が下痢などの副作用を生じてしまうと言われています。
そのため、抗生物質と同時に「プロバイオティクス」と呼ばれる乳酸菌などの有用菌が注目されています。
今回の論文では、アメリカで63例の臨床試験結果から、11,000人以上の患者に対してプロバイオティクスを投与した結果、42%の抗生物質投与に由来する下痢症状のリスク回避に繋がったと報告されています。
プロバイオティクス菌として使用されたのは以下の混合微生物リストです。
・Lactobacillus, Bifidobacterium, Saccharomyces, Streptococcus, Enterococcus, and/or Bacillus
今回の結果から言えるのは以下の内容です。
・プロバイオティクスは、抗生物質関連の下痢症状リスク回避に繋がる
・どのプロバイオティクス菌が有効かまでは特定できていない
2点目の「どのプロバイオティクス菌が有効かは分からない」について説明します。
プロバイオティクス菌は、色々な菌がヨーグルトなどに配合されていますが、私たちの腸内細菌叢は一人一人全て異なるので、どの菌を摂取すれば効果があるのかは全ての人で異なります。
そのため、様々な種類の菌を摂取することで、「効果のある菌に出くわす可能性を上げている」のです。
要するに「1つの菌だけでなく、色々な種類のプロバイオティクスを体に取り入れること」が大切です。
1種類のプロバイオティクスだけを、体に効くからと信じて飲み続けても、実は自分の体に合っていないという可能性も大きいのです。
今後の研究で、万人に効果的なプロバイオティクスも現れるかもしれませんが、私は色々な種類の微生物を体に取り入れ、腸内細菌叢全体を改善していく方が良いと考えています。
そのためには、何種類もの微生物で発酵された発酵食品や、ヨーグルト、さらには多種類の食材を新鮮なまま食卓に取り入れることが大切です。
加工や加熱されていない新鮮な食材にも、色々な微生物が住んでいます!
ただし、雑菌が繁殖しやすい食材や、食中毒が起こりやすい季節の食材の扱いには、十分気をつけてくださいね。
http://jama.ama-assn.org/content/307/18/1959.abstract
Probiotics for the Prevention and Treatment of Antibiotic-Associated Diarrhea
The JAMM, 307, 1889-1990 (2012)
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