放射性物質を体に取り込んだ際の「内部被曝」が問題になっていますね。
でも、私たちの体の中には、常日頃から「放射性物質」が存在しているのです。
それに、毎日食べている食品の中にも、「放射性物質」は含まれていますよ。
自然の放射性物質「カリウム40」
私たちの体は、色々な栄養素を必要としています。
アミノ酸やビタミン、ミネラルや糖、食物繊維などなど。
その中に「カリウム」という成分があります。
カリウムは私たちが生きていくために絶対必要なミネラルのため、「必須微量元素」と呼ばれています。
日頃食べている食材としては、海藻類などにたくさん含まれています。
ただし、「カリウム」と一言で言っても、実は何種類かあるのです。
私が「高畑」という名字で、家族が複数名いるのと同じようなものです。
自分の家族の中で、ちょっと暴れん坊で、誰かを傷つけてしまう人がいたとします。
それと同じように、「カリウム」家族の中で、害を及ぼす危険があるもの、それが「放射性物質」です。
このように、例えばカリウムの家族を「同位体」と呼び、その中でも放射線を出して害を及ぼす可能性がある物質を「放射性同位体(Radio Isotope: RI)」と呼んでいます。
私たちが害なく通常、体で使っているカリウムは「カリウム39」です。
一方、放射性同位体のカリウムは「カリウム40」です。
実は、このカリウム40は、カリウム39に混ざって自然界の中に普通に存在しています。
そのため、私たちは知らず知らずに放射性物質を日頃から口にしているのです。
食品に含まれる「カリウム40」、人体に含まれる「カリウム40」
カリウム40は、自然界に存在するカリウムに1万分の1くらい含まれています。
例えば、食品1kgあたりに含まれる量は次のようになります。
食パン 30ベクレル
白米 30ベクレル
ビール 10ベクレル
ポテトチップス 400ベクレル
ほうれん草 200ベクレル
干しコンブ 2000ベクレル
他にも放射性物質の炭素14などがあり、私たちの体には食品由来の放射性物質が日常からあるのです。
特にカリウム40は体重60kgの人の場合、体内に4000ベクレル〜6000ベクレル程度存在します。
炭素14も3000ベクレルくらいはあります。
そのため、常に私たちは内部被曝しているのです。
でも、日頃この程度の線量では内部被曝していても体には影響はほとんどありません。
少しずつ放射線は出していますが、生活の中では無視できるほどのレベルです。
今問題になっている「ヨウ素」や「セシウム」にも、ちゃんと安定型の物質があります。
ヨウ素は「ヨウ素127」は安定型で「ヨウ素131」が放射性物質です。
セシウムは「セシウム133」が安定型で、「134」や「137」が放射性物質です。
先日東京都で検出された水道水は、「1kgあたり200ベクレル」くらいです。
このくらいだと日常摂取している放射能と大差はありません。
ただ、2000ベクレルを超えるようなほうれん草は、少し気をつけないとダメかなと思います。
でも、忘れてはいけないことがあります。
それは「食べたからといって、全員に害が出る訳ではない」ということです。
放射線によって遺伝子が傷つくかどうかは、あくまでも確率の問題です。
放射能の現状やリスクをきちんと理解した上で、どうやって共存していくかが今後の問題ですね。
そのあたりを次の機会にコメントしたいと思います。