花粉症などを引き起こすIgE抗体は、人の免疫グロブリンの中でも0.001%以下と少量しかありません。もともとは寄生虫などに対応するための免疫に関わっているのですが、先進国では衛生過ぎることでIgE抗体が本来の役割ではないアレルギー反応に関与するようになっています。
アレルギーはどうすれば改善しますか?
短期的には「抗ヒスタミン薬」が有効です。長期的に食品で抑えるなら、IgE抗体を抑制するために、Th1細胞という免疫細胞を作らせる必要があります。乳酸菌の中にTh1細胞を誘導する種類がいるので、「Th1を強化する」試験結果のある乳酸菌を継続的に摂るのが有効です。
今、腸内細菌と様々な病体との関連が研究されています。例えば、セグメント細菌と呼ばれる菌がTh17細胞という免疫細胞を誘導していて、このTh17細胞が過剰に発現すると自己免疫性疾患に関与するなど。医療に応用されるのはまだ先でしょうが、最先端はスゴいです!
有胞子乳酸菌について
実は有胞子性乳酸菌は正確には乳酸菌(Lactobacillus属)ではなくBacillus属です。納豆菌と同じ種類なんですよ。
乳酸菌のロイテリ菌について
ロイテリ菌は口腔内フローラ関連の研究が進んでいます。歯磨きをしていないけど虫歯が何十年もない人の口から、L. ロイテリ菌が発見されたという発表を、学会でも見たことがありますよ。
ヒトの遺伝子数について
ヒトの遺伝子は約2万2000個。線虫は1万9000個で植物のシロイヌナズナは2万5000個でヒトより多いです。実は、ヒトは同じ遺伝子を切り貼りして組み直して、一つの遺伝子から多彩なタンパク質を作っているのです。これが、ヒトが少ない遺伝子数で多彩な行動をするためのメカニズムです。
詳しく言うと、遺伝子配列にはエキソンとイントロンという領域があります。スプライシングの過程でイントロンが切り捨てられ、エキソンの組み合わせ方でタンパク質の元になる遺伝子配列が決まります。まだ、仮説の領域ですがこれを「エキソンシャッフリング」と呼びます。